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鮮烈なデビューから10年。多彩な音楽性と圧倒的な歌唱力でシーンのトップを走ってきたMISIA。さらに加速度的に走り続けた2008年を象徴するように、彼女史上初のアジアツアー“THE TOUR OF MISIA DISCOTHEQUE ASIA”は大成功を納め、MISIAは文字通り、アジアの歌姫となった。その記念すべきアジアツアーのテーマソングとして掲げたのが、新曲「CATCH THE RAINBOW」である。この華やかで心弾む楽曲に込めた彼女の思いや、再開する国内ツアーへの意気込みを聞いた。
取材・文/橘川有子

音楽には人を楽しませ、幸せにするパワーがある。それを最大限に引き出せるのが「踊って、歌う」こと。

MSN:新曲「CATCH THE RAINBOW」は、MISIAさんにとって初のアジアツアー“THE TOUR OF MISIA DISCOTHEQUE ASIA”のテーマ・ソングだそうですね。

MISIA:はい。日本でのツアーに先駆けて、8月末から10月にかけてアジア5か所をまわりましたが、そのテーマ曲として作りました。台湾やシンガポールをはじめ、アジアの音楽チャートには、様々な国のアーティストが混在していて、言語も文化も入り交じっています。私にとっては、今回のツアーは初めてのことでしたが、現地の方々にとっては(他国のアーティストのライブも)、普通のことなのかもしれないなって感じたり。それに、どこの地域の方々も日本の文化をよく知っているし、日本をすごく好きでいてくれたことが、すごくうれしくて。いろんな意味で、意義深いツアーだったなと感じています。

MSN:ライブも各地ですごく盛り上がりましたよね。

MISIA:それが本当にうれしくて! 涙が出そう…というか、本当に泣いてしまいました。あれだけ盛り上がれたきっかけになったのが、「CACTH THE RAINBOW」だったかなと。実際、この曲を境に、会場の一体感がグッと増したんです。今回の大きなテーマは、“繋がる”ということ。ツアーが実現したのも、デビューからの10年間で繋がってきた方たちのお陰です。そんなふうに、楽しいことや幸せな予感が人を繋げていくし、音楽には人を楽しませ、幸せにするパワーがあると思うんです。そして、それを最大限に引き出せるのが「踊って、歌う」こと。だって、歌と踊りは、世界中に存在しますから。



(アジア各地の)初めての場所は、デビュー当初のファーストライブのような心境でした(笑)

MSN:ディスコ調で心弾む「CATCH THE RAINBOW」は、ツアーコンセプトにもぴったりだと。

MISIA:歌って、踊って楽しんで欲しいから、ツアータイトルを「DISCOTHEQUE ASIA」にしました。そのテーマソングにふさわしいものになるよう、私の信念が伝わる言葉をはめ込んだつもりです。また、誰が聴いても分かるように、いつもより英語の割合が多くなっています。でも、普段の生活でよく耳にする英単語ですし、日本語だけを聴いても分かるようになっています。どんな人が聴いても、「こんなことを伝えたいんだな」って分かったからこそ、お客さんとのイメージの交換がうまくいって、ライブが盛り上がったのだと思います。

MSN:以前、初めての場所では緊張すると言っていましたが、アジア各地でライブを重ねるたびに、自信を深めていったように見えました。

MISIA:自信がついたというより、自由になれた感じがします。初めての場所は、やっぱり緊張はしましたよ。毎回が、デビュー当初のファーストライブのような心境でしたし(笑)。ただ、お客さんが盛り上がってくれたので「伝わったのかな」と思えたし、子供の頃に、純粋に歌って踊って楽しんでいた、あの感覚へと研ぎすまされていったように感じました。大人になると、いつの間にか「こうしなきゃ」って考えてしまうけど、実はルールって、限られた地域でしか通用しないことだったりするんですよね。

MSN:ライブで成長した「CATCH THE RAINBOW」が、今度はパッケージになりますね。

MISIA:ライブのために作った曲ですが、基本的にはラブ・ソングです。私は笑い声も音楽のように感じますが、「We can play the music」という歌詞は、大切な「あなた」とライフミュージックを奏でたい、という意味なんです。

MSN:シングルには、新曲「JOYFUL MOMENT」も収録されていますが、これはどんな楽曲ですか。

MISIA:これは、アジア5カ所を回った後にできた曲です。リリックにもあるように、ツアーを通じて「誰かと誰かが出会う時/心と心が触れ合うその時/全てが始まる」と感じたし、もっと繋がりたいと思った。だから「Take my hand tonight」と書きました。これを、これから再スタートする国内のツアーで、日本以外の場所を回ってきたメッセージとして、歌えたらなと思っています。



愛に対しての考え方が変わってきました。生まれた瞬間からお母さんを「好き」って思うように、誰かを愛するために生まれてくると思う。

MSN:イントロや間奏では、流暢な北京語も披露していますね。

MISIA:あの部分は、「幸せと喜びが、私たちを1つに繋げてくれる」、「あなたに出会えてとても嬉しい」といっていて、ツアーでのメッセージそのもの。そして、この歌で最も伝えたいのが、「愛する為に、生まれてきた」ということです。アジアツアーやアフリカを訪ねたことで、愛に対しての考え方が変わってきました。「愛とは」なんて言葉で言うとアツすぎますが(笑)、人って、生まれた瞬間からお母さんを「好き」って思うように、誰かを愛するために生まれてくると思うんです。そして、愛する人と出会うために、日々、生きてるんじゃないかって歌っているんです。

MSN:初回特典にはアジアツアーの映像や新曲のPVに加え、MISIAさんが7歳のときの歌声まで収録されてますが…。

MISIA:まさかあれが(特典として)収録されるなんて、びっくり(笑)!  あれは7歳のとき、1人でテープに録って遊んだものですが、両親が「将来、もしかして使うかもしれない」って取っておいたんです(笑)。私の身内ではかなりのヒット作で、聴くたびに大ウケしてましたね。

MSN:かわいくて、ついほほ笑んでしまうこと請け合いです! 精力的に駆け抜けた2008年のMISIAさん。2009年はどうなるのでしょう?

MISIA:まずは、3月まで続く国内ツアーに、全身全霊を傾けたいですね。今回は、360度ぐるりと見渡せるセンターステージに、初めて挑戦します。ツアーのテーマは「歌って踊る」ですから、どれだけ音楽の波に乗れるかが大事。目には見えないけど、音楽やお客さんの声は波打っていて、それに自然に体が動かされていくんです。お客さんとの距離が近くなるので、多くの人とそういった“波”を体感できれば、大きなうねりが生まれていくでしょうし、360度という視覚的な楽しみ方もできると思うので、期待して欲しいですね。私の周りには、面白い発想を持つ人が多いので、これからも新しいもの、楽しいことが生まれると思います。いつも、好奇心、冒険心を持って、「楽しそうだからやってみたい」と思うことに、素直な気持ちでチャレンジしたいです。






Excite Music!

Excite: 新曲「CATCH THE RAINBOW」は、MISIAさんにとって初となるアジアツアーのテーマ曲だそうですね。
MISIA: 今回は5ヶ所をまわらせていただきましたが、いろんな意味で意義深いツアーだったと感じています。シンガポールでは、日本人アーティストのコンサートが約15年ぶりだったと聞いていますし(※シンガポールでは日本人アーティストのライブが行われるのは非情に珍しく、アリーナクラスのコンサートは1994年のCHAGE and ASKA以来とも言われる)、今回のツアーが私にとって初めてのことでしたが、言葉や文化が入り交じっていているアジアの人たちにとってはこれが普通なんだなって感じたりもしました。

Excite: 確かに、ライヴに来ているお客さんは、様々な言語や民族が交じりあっているという印象を受けました。
MISIA: 「CATCH THE RAINBOW」は、そんな人達にも親しんでもらえるよう、歌詞はいつもより英語を多めにしました。とはいえ、普段から耳にするような簡単な単語ばかりですし、日本語だけを聴いても、英語だけでも私の伝えたい信念が分かるような言葉をはめ込みました。そのせいか、ライヴではこの曲を境にお客さんの乗りががらっと変わって、一体感が強まったんです。ディスコ調のビートで乗り易かったこともありますが、「こんなことを伝えたいんだな」ってお客さんとのイメージの交換が上手くいったのだと思います。どこの場所も本当にすごく盛り上がってくれて、涙が出る程…というか、本当に泣いちゃいました(笑)。

Excite: デビュー以来の夢だったツアーを実現し、感じることも多かったのでは?
MISIA: デビュー10周年にアジアツアーをして感じたのは、曲を聴いて、実際にライヴに足を運んでくれる人達の大切さでした。そして、もう一つはライヴを実現させる為にサポートしてくれるスタッフがいてくれたこと。懸命に支えてくれたスタッフの皆さんは、この10年間で繋がってきた方達です。つまり、どんな大きなことも原点は人との繋がりなんだってことをとても強く感じました。

Excite: 以前、「初めての場所でのライヴは緊張する」と話していましたが…。
MISIA: それはやっぱり緊張しましたよ(笑)。デビュー当時のファースト・ライヴのような感覚が毎回巡ってくる感じというか。台湾では昨年もライヴをしましたが、前回よりもより良いパフォーマンスを見せなくてはいけないという別の緊張感があります。お客さんの反応がとても早いので、それに対してどんな変化球を投げてびっくりしてもらうかや、逆に変化球が来ると思わせて直球を投げて感動してもらうといったように、色々駆け引きも含めて考えました。その為にも、MCでは出来るだけ各地の公用語で話せるよう心掛けました。

Excite: 流暢な北京語に、地元メディアも驚いていましたよ。
MISIA: いえいえ(照笑)。音楽は言葉だから、ある意味では言葉は必要ないのかもしれない。でも、言葉は心の代名詞。たくさんは使えないけれど、いかに上手に使えるかを考えたし、だからこそ「CATCH THE RAINBOW」をアジアツアーの直前に作ったんです。今回は、“繋がる”が大きなテーマ。ツアータイトルを【DISCOTHEQUE ASIA】にしたのも、楽しいことや幸せの予感が、人を繋げていくと思ったからです。音楽は楽しさを分かち合うための最良の方法の一つ。そして、音楽のパワーを最大限に引き出せるのが、世界中に共通する“歌い”“踊る”ことだと思ったんです。

Excite: ライヴで成長した「CATCH THE RAINBOW」が、今度はCDとしてリリースされますね。
MISIA: ライヴの為に作った曲ですが、基本的にはラブ・ソングだと思っています。例えば、<We can play the music!(あなたとなら音楽が奏でられる)>という歌詞の“音楽”とはハートビートかもしれない。私は笑い声も音楽だと感じますが、大切な人の笑い声かもしれません。そうやってライフミュージックを奏でましょうと歌っているんです。

Excite: 確かに、歌詞では“あなた”と語りかけてます。
MISIA: 一対一の関係性から全ては始まると思うんです。虹が架かる空は、高くて手が届かないけど、でも手を伸ばした分だけ少しは近付けますよね。そうやって少しずつ手を伸ばせば、相手に近づくことが出来る。彼氏のことを知りたいなとか、手に触れてみたいなって思うのが第一歩。そうする為にどうすれば良いか考えた時に、相手を喜ばせたり、楽しませたりすることで繋がっていけると思うんです。

Excite: 6曲ものリミックスバージョンが収録されているのも、MISIAさんらしいこだわりだなと。
MISIA: 今回のリミックス、どれもすごくかっこ良いんです。一つの作品にこれだけバージョンの違うリミックスを収録するのは珍しいと思いますが、どれ一つとして削ることが出来ませんでした。リミックスって家でじっとして聴いているより、ドライヴしたり、皆で集まって騒ぐ時に聴く方が楽しめるものだし、その方が踊るための音楽であるリミックスの神髄も見えてくると思うんです。また、ドライブのように、風景が変わる状況で聴くのもお薦め!ビートに乗せて窓の外を見ていると、見なれた景色も違って見えてくるから不思議です。

Excite: それは新しい聴き方かも。本作には、新曲「JOYFUL MOMENT」も収録されていますね。
MISIA: これは、アジア各地を回った後に出来た曲です。ツアーを通じて、(歌詞に書いたように)<誰かと誰かが出会う時/心と心が触れ合う>と感じて、もっと繋がりたいと思った。だから<Take my hand tonight>と続けました。日本で再スタートするツアーでは、アジア各地で感じた答えとして、この曲を歌いたいですね。特に伝えたいのが、“愛する為に、生まれてきた”というメッセージ。今年、様々な国や地域を訪ねたことで、“愛”に対する考え方も少しずつ変わってきたんです。愛って…って、言葉で言うとかなりクサイですね(笑)。

Excite: アハハ。そんなことは…。
MISIA: 誰かと話してて、急にこんなこと語り始めたら「この人、ちょっと熱過ぎるかも」って敬遠されちゃいそう(笑)。だからこそ、歌にしたわけです。アジアツアーやアフリカに行って感じたことでもあるのですが、生まれた瞬間から母親を愛するように、誰かを愛する為に生まれてくるのだと思うし、そうやって愛する人に出会う為に生きてるんだって思うんです。

Excite: 2008年はベネフィットライヴの主催や“Child Africa”設立など、社会貢献活動にも積極的でしたが、音楽活動にもリンクしているんですね。
MISIA: 私は音楽そのものがライフで、日々感じていることは音楽に繋がっていくと思ってるし、アジアツアーやアフリカを訪ねたことで、すごく色んなことを学びました。マラウイで出会った日本人の方が、「音楽がある場所の人は、いざという時に頑張れるところが多いような気がする」って言っていました。悲しい歴史を背負う場所ほど、素晴らしい音楽があるとよく言われますが、それを聞いてからは、もしかすると音楽があったから辛くても頑張れたのかもしれないなって。「生きること自体が素晴らしい」ってことを、音楽は教えてくれますから。私自身、辛い時に音楽を聴くとパワーがみなぎってきます。「音楽が好き!」という気持ちを、多くの人に感染させたいと改めて思うことが出来ました。

Excite: デビュー10年を経てますますパワーアップしていると感じますが、2009年のMISIAさんはどうなっていくのでしょう?
MISIA: まずは、3月まで続く国内ツアーに全力投球です。360度ぐるりと見渡せるセンター・ステージに初挑戦するので、期待して欲しいですね。それとは別に、色んな場所にいる優れたアーティストの方々とも出会ってみたい。特に、その地域の文化や根付いてきた息使いが感じられる人に魅力を感じます。未知のことを知るのは、とても楽しいこと。引き続き、北京語と英語をブラッシュアップしたいし、日本の歴史や子供達についても知りたいと思っています。韓国だったと思いますが、10年経ったら次のステップを踏めという諺があるそうです。私達の進むべき道は未来にしかないのだから、自分が面白いと思えることにこれからも素直に挑戦していきたいですね。



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