--(笑)。今そういった人達とコラボレーションしている状況、一緒に音楽ができる環境があるっていうのは、嬉しい事ですか?
久保田利伸:すごく変な言い方をすると、その前がなかなか無かっただけに。僕がニューヨークに行く前っていうのは、「一緒に歌いたい」とか「コラボレーションしたい」って思う人はあんまりいなかったんですよね。それがあるからニューヨークに行ったって部分もありますし。でも10年くらい経ってみると、HIP HOPの状況も変わったし、R&Bって言葉も今や知らない人はいないだろうし。だから今はコラボレーションできる相手もまだまだ居るような気がするし、そういう時代に変わりましたよね。
今から10年前からの5年間っていうのは、少し日本からの話を聞いて「HIP HOPはどんどん行くな」って感じはあったんですけど、R&Bまで日本で大きなモノになっていくとは全然思わなかったんで。10年くらい前はまだ数人ですよね。それが毎年毎年いろんな人達が出てきて。で、5年くらい前になってくると、わりと僕も日本の状況を面白く感じるようになって、レコーディングもニューヨークばっかりじゃなくて日本でもやってみようと思って、日本にいる事が増えていって。そのときに実際に日本の状況を見たり聴いたりするんですが、やっと気の合う奴がドーンと居る状況になったって感じて。
例えば、1ヶ月くらい日本のスタジオでレコーディングをする。そこには5つのスタジオがあって、以前だったらその他の4つは大体ノリの違う人達なので、挨拶はしても会話ってなかったんです。でも今は隣のスタジオからちょっと洩れてくる音楽も同じノリだったり、遊びに来てくれる人達とも単純に「SAY HELLO」だけじゃなくて「久保田さんアレ聴きました?」とか「アレ良いっスよね」っていう話になる。だからレコーディングに行くのが楽しいんですよね。孤独じゃない。ただ用心しないと、15年前と違って結構同じモノをいろんな奴が聴いてるんで、同じような曲になっちゃうのは嫌ですよね(笑)。
--ちなみに今回のMISIAさんとのコラボレーションは、どういった経緯で実現に至ったんでしょうか?
久保田利伸:KREVAとこの間やりましたけれども、その数年前から「何かデュエットみたいな事をしようね」って話がMISIAとはあって。なかなかタイミングがなかったんですが、去年の秋過ぎくらいに自分の為に曲を作ってる時にMISIAの声が聴こえたんですよ。サビを作ってるときに。それで「あっ、これがタイミングかな」って。で、MISIAに話を具体的にする前に「もうMISIAと歌う感じで作っちゃおう」って感じで曲をそのまま作りきって。で、「そろそろ一緒にやりませんか?」と。
--実際にコラボレーションしてみて、どんな印象や感想を?
久保田利伸:勘が良かったですね。歌の勘が。僕は曲を作ったりとか、プロデュースめいた事をするときがありますが、基本的には歌うたい。で、MISIAは明らかに歌うたいで。で、クセを持って、そのクセが話題になってどうこうっていうより、「歌をドーンといく」っていう直球勝負の歌うたいってスタイルが僕もMISIAもあるんで。その辺ですごく通じ合う部分があるんじゃないかなと。数年前に、MISIAのアルバムに2曲ほど僕が楽曲提供した事があって、軽く歌入れに行ったんですけど、そのときに聴いたMISIAの歌よりも、当然ですけど、味があって、さっきも言いましたが勘が良くて。だからMISIAの歌入れはすごくスムーズ。1テイク始めから最後まで歌って、すごく良い感じなんだけども、あまりにもスムーズだから別のトラックにもう1回歌うくらい。
--いろんなアーティストとやってきた中で、そういうシンガーってやっぱり珍しかったりするんですか?
久保田利伸:そうじゃないですかね。ただ僕は日本人がそういう感じになるとは思わなかった。すごく偉そうな言い方だけど、特にこっち側の音楽の意味では、そうなるとは思わなかったですよね。
--ちなみにタイトルの『FLYING EASY LOVING CRAZY』は、どんなイメージから生み出された言葉だったんでしょう?
久保田利伸:まず曲を作って、その曲の響きの言葉を乗っけていたんですよ。わりと韻や響きで曲を作り始めちゃうと、実際に具体的な言葉を乗せるときもそうしたくなっちゃう。で、この曲は、とことん自由なイメージなので「FLYING EASY」という言葉が出てきて。「自由に羽ばたく」って訳しても良いと思うんですが、それがまず浮かんで。で、タイトル的にはそれだけでも良かったんですけど、もうちょっとラブソング感が欲しいなと思って「LOVING CRAZY」を加えました。
--その『FLYING EASY LOVING CRAZY』を公の場で2人で披露する機会っていうのは、今後あったりするんでしょうか?
久保田利伸:例えば、僕のライブでも、もしかしたらMISIAのライブでも、タイミングが合えばそういう機会があると思います。
--あの、これは、本当に勝手ながらの僕からの提案なんですが、久保田さん主宰でですね、MISIAさんはもちろん、日本のR&Bやヒップホップ、あらゆるブラックミュージックやクラブミュージックをやっているアーティストを集結させたフェスをやってほしいなと。どうでしょう?
久保田利伸:うーん。当然そういう事をやっても良いですよね、僕もそろそろね。
--えぇ。
久保田利伸:確かに今の日本のこの土壌はね、そういう事をやろうとしたら、すごく良い奴らがいっぱいいる訳で。でも、まだやれてないですね。ちょっと前から似たような話はあるんですが、僕は勝手に1人でアメリカで始めちゃったりとか、向こうの環境の音楽をやったりとかっていうので、あんまり束ねるのが得意じゃないなっていうのがあって。しかもそれをまとめる兄貴役みたいなモノは・・・。そういうキャラは充分あるって人は言ってくれるんですが、音楽の中でそれをやって行くのが、あんまり他の人ほど得意じゃない。だから僕と誰かもう1人くらいいてくれると良いんですけどね。で、僕がそれに乗っかるくらいの感じで(笑)。
--なるほど。では、パートナーを探しましょう(笑)。で、出来ればそういうのを毎年やってほしいなって。ロック系のそういうフェスイベントはもうたくさんあるわけですから。待ってる人も多いと思いますし。
久保田利伸:そうですよね。HIP HOPもR&Bもコラボレーションっていう事が普通の音楽ですから。いろんなアーティストが集ったりっていうのがあって良いですよね。だから・・・あるんじゃないですか?
--(笑)。期待しています。で、そんな夢も見れるようになった今の日本のシーンなんですけど、これから先、どんな事を具体的にやってみたいなと思いますか?
久保田利伸:アルバムをここ1,2年出してないんですけど、この期間でわりと日本のアーティストといろいろやって、彼らも僕から影響を受けた事いろいろあるでしょうけど、逆に僕もすごく新鮮だったり、いろいろ影響を受けてますから。それを経て、どんなアルバムが出来るかっていうのは、楽しみですよね。作業的にはもう入り始めてますので。で、具体的に何かやってみたい事と言えば、さっきの話ですかね。それは、遠い先の話じゃないかもしれない。
- Apr 15 Tue 2008 13:24
久保田利伸專訪節錄:合作的現場演唱可能會實現!!?
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