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ISIAの約2年振り、7枚目となるアルバム『ASCENSION』が完成した。収録曲のいくつかは、昨年12月にリリースされたLIVE DVD『星空のライヴIII~Music is a joy forever~』に収録されているほか、同じく昨年11月からスタートしている全国ツアー『THE TOUR OF MISIA 2007 ASCENSION』(残すところ横浜アリーナでの追加公演のみ!)で披露されていることもあり、すでに耳にしている人もいるだろう。ダイレクトに、時間をかけて届けてきた、彼女からのメッセージの全貌が、いよいよ明らかになる作品だ。
 前作『SINGER FOR SINGER』では、他のシンガーソング・ライターから提供された楽曲を歌うことで、一人のシンガーとして歌と向き合うことに徹したMISIA。一方、今作ではほとんどの楽曲を自ら作詞。それは彼女本来のスタイルではあるものの、今作を聴く限り、そうしなくてはならなかった理由があると思わざるを得ない。
 彼女が自分の言葉と自分の声で伝えたかったメッセージ--それは、“生きる”ということ。<私は生きてる><私は生きてく>と高らかに宣言する『Color of Life』から始まり、人間には喜びと悲しみを繰り返しながらも明日を探し、選ぶ力があることを歌う3曲目の『REMEMBER LADY』、たった一度しかない人生を、その中でも今のこの一瞬を、精一杯生きたいと星に願う13曲目の『星の銀貨』など、例を挙げたら切りがないほど、今作のテーマは一貫している。暗いニュースばかりが続く昨今、おそらく誰もが“生”もしくは“死”について一度は考えたことがあるだろう。彼女もきっと、その一人だったに違いない。事実、彼女は制作初期の段階で「“生きる”とは何か」について考えたという。その問いに彼女が出した答えは、「“生きる”とは、どんな状況でも幸せな明日や未来を求め続けること」。そして「その力をサポートする音楽ができてこそ、初めて人のための“music”になる」という方程式を導き出した。そうした決意を胸に、自らの言葉で紡ぎ出された楽曲の集合体である今作から、溢れ出す生命力や人間味を感じるのは当然のことと言える。
 と、ここまで若干小難しく書いてきたが、今作がメッセージの重さ故に安易な気持ちでは聴けない作品というわけでは決してない。スピーカーから聴こえる音は、思わずリズムを取りたくなるダンサブルなナンバーから、じっくりと耳を傾けたい美しいバラードまで、実にバラエティ豊か。初回盤ボーナストラックを含めると全15曲70分超の大作ながら、むしろ気軽に何度でも聴きたい衝動に駆られる。再生ボタンを押すたびに、彼女の歌声が、“生きる”というメッセージが、心だけでなく細胞にまで染み込んでくるのを実感できる一枚だ。その感覚こそが“ASCENSION(上昇という意)”。彼女の音楽が放つエネルギーを、私たちは自らのエネルギーに変え、生きる原動力が得られる今作にはピッタリのタイトルではないだろうか。彼女自身も「私が音楽をやっている意味が、今作にはある」と自負する『ASCENSION』に、是非一度耳を傾けてほしい。
(文/片貝久美子)
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