前作から約2年という、これまでになく長い制作期間を費やして完成したニューアルバム『ASCENSION』をリリースしたMISIA。この作品で描かれるのは、“生きる”ということ。明るいニュースばかりではないこんな時代だからこそ、忘れてはいけない大切な願いや希望。音楽を通して、喜びも悲しみも痛みすらもプラスのエネルギーに変えようとする彼女の願いが伝わってくるアルバムについて、話を聞いた。



「この2年は改めて命について考えることが多かった」

 MISIA待望のニューアルバム『ASCENSION』がリリースされた。前作『SINGER FOR SINGER』から約2年という、これまでになく長い制作期間を費やして完成したこの新作には、その間に彼女の心に触れた出来事や心を揺らした思いが映し込まれた作品となった。ここで描かれるのは“生きる”ということ。それは明るいニュースばかりではないこんな時代だからこそ、忘れてはいけない大切な願いであり希望だ。ホワイトバンドをつけて貧困のない世界を作ろうというキャンペーンを展開するホワイトバンドプロジェクトにも賛同しているMISIA。音楽を通して喜びも悲しみも痛みすらもプラスのエネルギーに変えようとする、彼女の願いが伝わってくるアルバムである。


■前作からの2年間は、MISIAにとってどういう期間でしたか?

MISIA:「愛・地球博」でエリカ・バドゥさんとの共演があったり、ホワイトバンドに賛同して、フェスに参加したり。あとは最近ニュースになっているようなさまざまな悲しい出来事や、身近な人の死に接したことで、改めて命について考えることが多かったんです。だからこのアルバム『ASCENSION』は“生きる”っていうことをテーマに制作しようと思ったんです。


■その時々に感じたことや思いのかけらを作品に落とし込んでいったのですね。

MISIA:そうですね。音楽って私たちが生きていくうえでのパワーの源だったりしますよね? 音楽で伝えていくべきこと、“強く生きるというのはどういうことなのかな”と考えたときに、何が起こっても恐れないで希望を探していくチカラとか、幸せを作り出そうとするパワーとか……。これが人間にとって強いということなんじゃないかな、とすごく思って。最終的にはポジティブなパワーを歌で伝えていきたいなと思ったんです。


■「頭上を飛ぶ飛行機を見つめながら、現実から目をそらさないで自分の人生を生きていこう」というアルバム1曲目の『Color of Life』(『LUV PARADE/Color of Life』収録)は、生きていくことの意味やポジティブなメッセージを感じる曲ですね。

MISIA:このアルバムは『Color of Life』が軸になっているんです。ホワイトバンドプロジェクトに参加していろんな問題が見えてきたときに、そこには過去の歴史が複雑にからんでいるという事実に気づいて、私たちはもっと歴史を知るべきだなと思ったんですね。現在も続いている貧困問題とか……。私は、ミュージシャンとしてできることは、始めにお話した“生きる”ということを歌にして伝えることだと思ったんです。




「ネットで検索数を見るのが好き。“愛する”のほうが“愛される”より断然多い」

■身近な人を亡くされたという話が出ましたけれど、その出来事から生まれた曲が『Stay in my heart』なんですか?

MISIA:その悲しみから逃れたいという気持ちと、悲しみから逃れたらその人のことを忘れてしまう、という恐怖感があったんです。でも、ちゃんと死というものに向き合わなきゃダメだと思って。そのときに、その人から「あなたはちゃんと生きなさい! 生きている人たちのために何かしなさい!」って言われた気がしたんです。死と向き合うということは、生き方と向き合うことだと受け取って。そういう悲しい出来事もあったけど、たとえ痛みが薄れても、心のなかに愛しさだったり、一緒に笑い合った思い出は決してなくならないなって。


■それが「いつかまるで指輪のように 私の一つになるの この胸の痛みも愛しさも」という歌詞になったんですね?

MISIA:そうですね。指輪って常に付けていると、付けていることを忘れてしまって、ふと思い出すことってありません? 思い出もそんなふうに私はふと思い出すことがあるんです。そのときに“指輪”と“思い出”は同じなんだな、と感じたんです。で、指輪に置き換えて歌詞を書いてみました。


■命から教わることって多いですね。

MISIA:本当にそう思います。この間、インターネットで検索しているときに、興味深いことがあって……。


■どういうことです?

MISIA:私、ネットで検索数を見るのがすごく好きなんですね。この間、“愛する”という検索数を調べたら、“愛される”より断然多かったんですよ。“大好き”と“大嫌い”だと“大好き”が断然多いし、“幸せ”と“不幸”だったら“幸せ”が多くて。“愛”と同じだけ検索数が多い言葉を調べてたら、“命”だったんです。命を大事にするときって、やっぱり愛が必要なんだなと思ったら、すごくうれしかったんですよ(笑)。


「熱しやすく、冷めやすいですね。でも音楽に対しては、違いますよ(笑)!」

■改めてこのニューアルバムをどういう人に聴いてほしいと思いますか?

MISIA:元気になりたいなと思ってる人に聴いてほしいですね。私は、そういう人たちをサポートできるような音楽を作っていきたいと思っています。このアルバムの『ASCENSION』というタイトルは、さまざまな出来事をすべて自分のパワーに変えていく=ASCENSIONなんです。ぜひ、たくさんの人に聴いてもらって何かのきっかけになればいいなと思っているんです。


■MISIAはあまりメディアに登場しないですよね。それゆえに口数の極端に少ない孤高のシンガーというパブリックイメージを抱いている人も多いと思うんです。もしもそういう人がライブに行ったら、そのエンターテイナー性や明るい性格という本来の姿とのギャップを感じちゃうかもしれない(笑)。

MISIA:それはしょっちゅう言われてます(笑)。


■最後にプライベートで最近凝っていることがあったら聞かせてください。

MISIA:緑茶がマイブームですね。せん茶がいちばん好き。2004年のお正月くらいからハマってて、京都まで買いに行ったりしてます。


■京都までですか。それはえらい凝りようですね。大量に買ってくるんですか?

MISIA:今度行ったときは大量に買いだめしてこようと思ってます。そのお店は大きな瓶が置いてあって、試飲もさせてくれるし、お店自体も緑茶のいい香りがするんですよ。緑茶はいいですよ。紅茶も飲んでいますが、研究した結果(笑)、せん茶がいちばん! 口のなかがうるおうし、味がやわらかいし、色もきれいだし。殺菌効果もあるから、食あたりも軽減されたりするという話も聞きますし、いいこと尽くめ! レコーディングのときも飲んだりしてます。


■ほかには何かありますか?

MISIA:エコロジーとかも興味ありますね。ゴミ問題とか、洗剤も界面活性剤が入ってないものを使うとか。あとリメイクしたお洋服、古着を着るようにしたりとか。ほかには……引き続きマンガ。浦沢直樹さんが大好きなんです。『PLUTO』の続編が出るのを待ってるんですけれど(笑)。


■けっこう凝り性っぽいですね(笑)?

MISIA:そうかも。で、熱しやすく、冷めやすい。


■もしかして血液型はO型ですか? 僕もそうだから(笑)。

MISIA:はい。ものごとに対してですけどね。でも音楽に対しては、違いますよ(笑)!


(インタビュー・文 / 伊藤博信)


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