昨年末に7人の魅力的なシンガーソングライターが“類まれなるシンガーであるMISIA”に曲を贈るというコンセプトアルバム『THE SINGER SHOW』を発表したMISIA。このアルバムを受けて、彼女は「2005年は、シンガーとしての原点に立ち戻りたい。曲作りをすることももちろん好きだけど、私はやっぱり歌うことが何よりも大好きだなってと思った。歌うことを大切にしたい」と語っていた。そんな言葉通り、今年の頭に行われた、MISIAのライヴ『THE TOUR OF MISIA 2005 THE SINGER SHOW』はとても温かく心に残るものだったと思う。

 いつもは観客を楽しませるために、ラスベガスのビッグショウなみの一大エンターテインメント(しかも最新の!)を画策してくれる彼女が、改めて“いちシンガー”として原点に立ち戻ったライヴだ。広大な大地や砂漠の自然な起伏を思わせる円形のステージにひとりで立っているMISIA。幻想的なライトが彼女の姿を優しく照らしだす。名バラード「名前のない空を見上げて」を会場をゆっくりと一周しながら歌いあげる。自らピアノを弾きながらささやくように歌っていた、「Mama Says」、会場中に強力な一体感と快感をもたらす「INTO THE LIGHT」……。ひたすら歌をまっすぐに届けようとしているMISIAは、健気なのにスピリチュアルな広さ、大きさを感じさせて、至極、印象的で……。いつもの華やかなステージも魅力的だけれど、あの澄みきって豊かな感情を宿した歌声を、純度120%浴び続ける幸福感はそうそう得難いものだったと思う。
そんな珠玉の“歌エンターテインメント”ライヴが、DVDになってMISIA本人のバースデーである七夕の7月7日にリリースされることになった。しかも、このライヴのラストに披露されて話題を呼んだ新曲「SONG FOR YOU」とスペシャルパッケージ。

 「SONG FOR YOU」はMISIAの母なる大地のようなアーシーな歌声の魅力が、存分に活かされているラブバラード。優しい起伏を持ったメロディ、アコースティックギターを中心にストリングスやパーカッションを絶妙に配して、生の質感を大切にしたサウンドは、何気なく聴いているだけでも、あの大きな歌声に抱きしめられたような温かな気持ちになれる。詞にはまたMISIAらしい純粋さが滲み出ている。愛する人のそばにもっといれば、愛しさも宝物も増えていくと歌う彼女の詞には一点の曇りも見られない。迷いなく人を愛すること、愛する人とともに生きていくよろこびに満ちていて、聴いているほうにも自然に希望がわきあがってくる。ラスト近くで歌われるブリッジ、〈絶対に失いたくないと思うものに出会った時がかけがえのない小さな愛が輝き出す瞬間〉という強力なフレーズが深い確信として胸に迫ってくる。自らが愛する人とともに聴きたいと思うのはもちろん、たとえば、ウエディングソングとしても、誰かに届けたい幸福のラブソングだ。

 歌が人を優しい気持ちにしたり、幸福にしたりする。そんな力を改めて信じさせてくれる楽曲であり、ライヴである。それは、やはりMISIA自身が歌を愛しているからなんだろう。誰よりも。
(文:丘芳麗)

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MISIA 『シンガーとしての原点に立ち戻ったライヴ』
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